羊毛

先週、千歳空港にほど近い羊牧場へ行って来ました。私の友人が営むこの牧場で飼育している羊はサフォーク種。肉用種としては最高級とされていますが、非常に繊細で飼育が難しいとされています。
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私の会社「北方圏ショップKai」では、以前から道北の美深町にある松山農場さんとタッグを組んで羊の有効活用に取り組んでいます。 「エコ」と言う言葉が流行ってますが、羊は青草や乾草を食んで育ち、生後4ヶ月から6ヶ月で出荷が可能となります。出荷前のほんの僅かな期間、濃厚飼料(つまり穀物)を与えて肥育しますが、豚や牛のそれとは比べ物にならないくらい少ないのです。羊はそう言う意味では「エコ」なんです。

ある大手自然食品販売会社が、北海道に1000頭規模の羊牧場を開設したいとのことで、私はそのプロジェクトに参画する事になりそうです。以前から羊に取り組んできましたが、何だか面白い展開になって来ました。

ところで、友人の羊牧場からサフォークの毛を貰って来ました。羊毛を使ったフェルト作りを趣味にしようとしていた弊社naccoが欲しいというので貰って来た羊毛でしたが、10kgほど入っていた袋を覗くと、何やら異臭(尿の臭い)が漂い、ウ●コとか草とかが絡んでいます。こんな事はある意味当たり前なのですが、この羊毛をフェルト作りの為に処理する事は大変な手間がかかり、初心者には無理なのです。 そこで、先ず私がやってみる事にしました。昔、アリスファームで羊毛の処理をした経験があったので、それを思い出しながらチャレンジしました。

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刈ったままの羊毛は、とにかく汚いのです。尿やウ●コや草もさることながら脂や汗が染み込んでいるので、先ずは、異物を取り除いてから65℃のお湯に漬けて脂等を溶かして洗います。

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脂等が溶け出したドロドロとしたお湯を捨てたら、次は30℃程度のぬるま湯に漬けて更に洗います。この間にもゴミが出て来るので、根気よく取り除きます。

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この段階で、洗濯機で脱水した後、ぬるま湯に洗剤を入れて、そこに羊毛を入れ、一晩漬けておきます。翌日、濯いで脱水した後、もう一度洗剤に漬け、良く濯いだら脱水して乾燥します。 

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さて、ここからがめんどくさいのです。写真の右側は、乾燥が終わった羊毛。気をつけていてもフェルト化してしまいます。つまり毛玉になってしまいます。なので、少量ずつ手にとって解していきます。左側が解した羊毛。

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解し終わった羊毛です。まるで綿飴のようです。ここまで処理する為に丸二日かかりました。未処理の原料から製品にするという事は、気が遠くなるような時間と手間が必要なのだと、改めて再認識した次第。

実は、作業はこれで終わりではありません。次は染色の作業が待っています。

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今日、札幌の大通公園で開催されているミュンヘン・クリスマス市へ行って来ました。出店の中で私達のショップと提携している おおいえのりこさんのフェルトの作品が販売されていました。

http://ivory.ap.teacup.com/maaberry/

おおいえさんは、美深の松山牧場へ出向き、羊の毛狩りを自ら行って、その毛を使って作品を作り出しています。全く頭が下がります。 何事も自ら経験しなければ、モノの有り難さと言うのが解らない訳です。

大変有意義な週末を過ごさせていただきました。

ネタがかぶってますけど、こちらもネ

http://nacco755.exblog.jp/
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# by marimuramario | 2009-12-13 16:44 | その他

秋鮭

北海道の秋の味覚と言えば先ず「秋鮭」です。 私が住んでいる札幌市手稲から車で20分も走れば大量の秋鮭が遡上する石狩川に至ります。石狩川河口付近で獲れた秋鮭は、その日のうちに札幌市内のスーパー等の店頭に並びます。

市内のスーパーでは、旬の秋鮭が本当に安い値段で売られています。で、早速買い込んできました。秋鮭を真っ二つにした半身です。長さは60cmほど、これで500円でした。

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早速、捌きます。 先ずは頭とひれ、それに腹骨等を取り去って半分に切ります。 頭に近い方はムニエルにしました。 過日購入したフェンネルの葉とディルシーズで風味付けをし、軽く小麦粉をはたいてバターで焼いてみました。付け合わせは、やはり今が旬の椎茸のソテーとレッドムーンと言うジャガイモの茹でたもの、それと自家製のビーツのピクルスです。ムニエルには自家製のスメタナをかけていただきました。スメタナとはロシア語で、生クリームにヨーグルトを加えて乳酸発酵させたものです。所謂サワークリームです。

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残りの半身は、スウェーデン風の塩漬けに・・・・・・
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先ずは、塩とディルシーズを鮭の身の両面に擦り込みます。そして、本当はディルの葉を使いたい所ですが、フェンネルの葉しかなかったなので、フェンネルの葉を鮭の身の両面に貼付けてラップでくるんで1kgほどの重しをして冷蔵庫で寝かせます。  一晩置いた鮭は、いったんラップを取って身から出た水分を拭き取り、ヒックリ返して重しを乗せて、さらに一晩寝かせます。こうして出来た鮭の塩漬けは、鮮やかな紅色を呈しとても美味しそうです。

フェンネルもディルも同じセリ科の植物です。また、ドイツのプンパニッケルと言うライ麦パンやピクルス等に入っているキャラウェイも極めて近い種です。フェンネルはフランスやイタリアで好まれ、様々な改良種が出回っています。ディルは北欧の人々にとって無くてはならないハーブです。キャラウェイは、ドイツやオーストリア、ポーランドの人々の食生活に欠かせないものです。 因に、「太田胃酸」の強烈な香りはフェンネル:つまりウイキョウです。

これら3種のハーブは、姿形が極めて似ているのですが、その香りは微妙に違います。この香りの違いを嗅ぎ分ける事が出来なければ、北ヨーロッパ通とは言えません(笑

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さて、スウェーデン風の鮭の塩漬けは、薄く切って、スメタナを掛けていただきました。 鮮やかな色と適度な塩気、ねっとりとした食感が最高です。生臭は全くありません。

ただ塩をすり込んだだけなのに、こんなに美味しい料理になるとは、改めて感激しました。

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北海道の秋の味覚は、まだまだあります。 あっという間に冬を迎える北海道のほんの一瞬の至福の時を楽しみたいと思います。
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# by marimuramario | 2009-10-08 20:15

おから

自宅のほど近くに「豆太」と言う豆腐屋があります。歴史は浅いのですが、この店の豆腐は北海道において三指に入ると、私は思っています。

豆腐の原材料は、大豆と水と苦汁だけと言うシンプルなものです。だからこそ個々の材料の善し悪しと作り手の技が豆腐の味にストレートに反映されるのです。

先日、豆太の工場に豆腐を買いに行きました。この店には絹ごし豆腐、木綿豆腐共に、それぞれ二種類の商品を用意しています。 値段が違うのです。 安い方は一丁180円、高い方は380円。 価格の違いは豆の違いなのです。高い豆腐は、十勝産の特別な大豆を使用しています。でも、安い豆腐も高い豆腐も製法は変わりません。

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実は、豆太さんに豆腐を買いに行った理由は、「おから」の調達にありました。 

立秋が過ぎた北海道では、いよいよ秋刀魚漁が始まりました。 私が日常的に魚を買っている店にも、旬の秋刀魚が入荷し始めました。

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私の故郷では昔から、「卯の花漬」と言う保存食が作られていました。 これは三枚におろして塩で絞めた後、酢洗いした青魚を、甘めに調合した寿司酢を混ぜたおからに漬込んだもので私の大好物です。

釧路厚岸産の秋刀魚は、30cm程度の魚体が30匹入って一箱680円!・・・・ 安いです。 で、おからは1kg:280円でした。

特別な大豆から作られた豆腐のおからと旬の秋刀魚との出会い・・・・・材料は全て北海道産です。


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漬込んで4日目の今日、夕餉の食卓に出しました。 お気に入りの 「たち吉」の利休ねずみ色の鉢に盛って、庭からとって来た山椒の葉で止めました。  まずまずの出来映えです。 

「素材は一流。料理は三流」と言われて久しい北海道に、このような食文化を広めて行ければ・・・・と思いつつ
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# by marimuramario | 2009-08-18 02:20 | 食べ物

カルデラの貴婦人(その2)

さて、丹誠込めて育てられたホワイトアスパラガスを調理します。
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アスパラガスは、とにかく足が速い(鮮度が落ちるのが早い)のです。本州に住んでいて例えばタケノコの調理方法を知っていらっしゃる方ならお解りになると思います。
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ホワイトアスパラガスは、収穫後、なるべく早いうちに下処理をします。
先ず、アスパラの木口から全体の1/3程度まで皮を剥きます。 剥いた皮は捨てません。
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鍋に湯を沸かし、沸騰したところで、塩と剥いたアスパラの皮を投入します。 再び沸騰したら、アスパラを投入し、5〜6分経たら火を止め、冷えるまでそのまま置きます。
皮には、アスパラガスの旨味や香りが凝縮されているので、それを一緒に茹でる事によってアスパラ本体に還元するのです。
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今日は父の日。 ゆでたアスパラは、シンプルにマヨネーズで戴きましたが、本当は生でも食べる事が出来るのです。カルデラの貴婦人は、とても甘く、しかし、一方でワイルドな渋みもしっかりと主張しています。

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# by marimuramario | 2009-06-21 22:22 | 食べ物

カルデラの貴婦人(その1)

札幌市の西方、車で約1時間ほどの所に赤井川と言う村があります。 赤井川村の村域の地形は、いわゆるカルデラ。 その昔、富士山級の火山が再噴火し盆地を形成したのです。その赤井川村に、日本でただ一カ所、農林水産省の有機認証を得たアスパラガス農家があります。 
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これが、その農場です。有機認証を受ける為には、農場の近隣に農薬を使う他の畑があってはならないのです。ですからこの農場は、赤井川の、とんでもない奥地にあります。
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これが「カルデラの貴婦人」と命名された有機無農薬栽培のホワイトアスパラガスです。 通常ホワイトアスパラガスは、畝を作って土を被せ、日の光に当てないように育てるのですが、この農場では、遮光性の覆いを被せて育てています。 因に、この遮光性の覆いを施すと言うユニークな栽培方法が、他所から飛散する農薬からホワイトアスパラガスを完璧に保護しているとして、有機認証を受けることが出来た理由の一つにもなっています。
しかし、この方法、実は、火山灰土で石ころだらけのこの土地では、通常の栽培方法が通用しなかった事から編み出された苦肉の策なのです。
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ホワイトアスパラガスのハウスの間に植えられているグリーンアスパラガスです。これも有機認証を受けています。
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珍しい紫色のアスパラガスです。有機無農薬栽培なので、畑は雑草が生い茂っています。 でもアスパラも負けていません。

一般に出回っているアスパラガスは、実は大量の農薬や除草剤を使っています。 北海道の新鮮なアスパラガスを売っていると言うインターネット販売の業者さんのサイトには、雑草一本生えていないフカフカの土の畑に生えているアスパラの写真が掲載されていますが、これは、農薬の成せる技です。

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収穫した直後のホワイトアスパラガスです。まるで真珠のような美しい輝きを放っています。
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農場主の滝本さんです。 これと言って特産品の無かった赤井川村で、二十年以上の年月をかけて「カルデラの貴婦人」を生み出しました。 一見、飄々とした人柄ですが、顔に深く刻まれた皺や、とてもゴツくて大きな手を見ると、彼が歩んで来た大変困難な道のりが忍ばれます。
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出荷を待つカルデラの貴婦人達です。 遠く九州沖縄にまで送られるそうです。 一方、常連の方々も居ます。あのミシェラン3つ星のカンテサンスやオテル・ド・ミクニ。帝国ホテルをはじめとする有名ホテル。全国の三越百貨店など、このアスパラを待ち望んでいる多くの人々が居ます。

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戴いて来たアスパラ達です。 一年に一度の恵みを、我が家ではどのように戴くか・・・・その2に続くです。
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# by marimuramario | 2009-06-21 00:19 | 食べ物