松山農場
北海道上川郡美深町・・・・と、言ってもピンとこないかもしれませんが、北海道の最北、稚内市の近くに、この街はあります。 かつて道北の林業の中心地であったこの街も、他の北海道の町村のように、基幹産業の衰退と共に寂れて行きました。
そんな美深町で、新たな産業を創造しようと立ち上がった一人の人物がいます。松山農場を営む柳生さんです。彼は、もともと美深の生まれですが、青春時代を小樽で過ごし、北海道大学農学部で酪農を学んだ後故郷に帰りました。 最初は牛を飼いましたがうまく行かず、何か話題性のある農業はないかと模索しているうちに、羊を飼って羊乳を生産することを思い立ちました。 彼が経営する松山農場は、日本で唯一の羊乳生産農場です。 生産された羊乳は、瓶詰めにされ、さらにヨーグルトやチーズやアイスクリーム等にに加工されています。しかし乳牛の搾乳のように搾乳機を使った搾乳が出来ず、数百頭の羊の搾乳は、全て手作業です。 しかし、これだけ努力しても、とても街の基幹産業として成立するのは難しいと思った柳生さんは、町内の至る所に生えている白樺の木に着目しました。 春先に穫れる白樺の樹液は、古くはアイヌの人々が春の恵みとして愛飲していました。この樹液は、ほんのりと甘く、多くの栄養素が含まれています。 因に、フィンランドで開発された甘味料のキシリトールは、白樺の樹液を精製したものです。 柳生さんは町内の方々に呼びかけて、白樺の樹液を採取し、それを商品化することを思い立ちました。 この商品も、日本で唯一、美深町だけで生産されています。 柳生さんです。柳生さんが営むファームイン トントゥの食堂です。ファームインの夕食は、ジンギスカンです。写真は2月に美深に取材に行った際のものです。右側に映っているのは、宅の小僧(長男)です。親が言うのもなんですが、けっこうイケメンです(笑 4月に開催された、松山農場主催の「樹液祭」参加の為に、小娘1号、3号及び弊社社員のnaccoを引き連れて美深に参りました。 松山農場特製の白樺の樹液です。 ほんのり甘くて、さわやかな飲み物です。 白樺から樹液を採取している所です。雪解け前のほんの一時期にだけしか採取できません。気温が高くなると、あっという間に腐ってしまうからです。 毎年、樹液を採取する為、森に入る前に地元のアイヌ民族の方々に、カムイノミと言う儀式を執り行っていただきます。森に棲む精霊達に感謝の気持ちを込めつつ、森の恵みを戴く許しを請うのです。カムイノミは全てアイヌ語で行われます。その言葉や意味は、私達倭人には、全く理解できません。 因に、北海道と言う地名の「海」は、アイヌ語です。 江戸時代の末期、松浦武四郎と言う幕府の役人が、幕府の命を受けて、北海道の日本海側に位置する今の天塩町に渡り、地元のアイヌの案内で天塩川を丸木舟で登り美深町に到達しました。 案内人のアイヌの家に泊まった松浦が、「ここは、なんと言う所か?」と尋ねたところ、 アイヌの案内人は「Kai」と答えました。 その意味は、「私たちが生まれた所」と言う意味でした。 そこで松浦は、この土地は、北の「私たちの生まれた所」に至る道(つまり 天塩川)なんだなぁと発想し、北海道と名付けたのでした。 この春に生まれた、松山農場の子羊です。小娘3号とnaccoがミルクを与えました。 母性本能が目覚めたのか、ミルクを与える彼女らの顔は、普段と全く違う表情でした(笑 因に二人とも独身でございます。 搾乳の作業です。 全て手作業です。 搾乳機を使ったこともあったようですが、羊のそれは非常に繊細なので、搾乳機では無理だったようです。 数百頭の羊の搾乳作業は本当に大変です。 因に一日一頭あたり、僅か900cc程度しか搾乳できません。とても貴重なミルクです。 羊乳から作られたチーズと羊のレバーの薫製です。 チーズは青カビのチーズとゴーダに似たチーズです。とても濃厚で、酒の肴にはもってこいです。
by marimuramario
| 2009-06-01 16:07
| 食べ物
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