カテゴリ:食べ物( 7 )

おから

自宅のほど近くに「豆太」と言う豆腐屋があります。歴史は浅いのですが、この店の豆腐は北海道において三指に入ると、私は思っています。

豆腐の原材料は、大豆と水と苦汁だけと言うシンプルなものです。だからこそ個々の材料の善し悪しと作り手の技が豆腐の味にストレートに反映されるのです。

先日、豆太の工場に豆腐を買いに行きました。この店には絹ごし豆腐、木綿豆腐共に、それぞれ二種類の商品を用意しています。 値段が違うのです。 安い方は一丁180円、高い方は380円。 価格の違いは豆の違いなのです。高い豆腐は、十勝産の特別な大豆を使用しています。でも、安い豆腐も高い豆腐も製法は変わりません。

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実は、豆太さんに豆腐を買いに行った理由は、「おから」の調達にありました。 

立秋が過ぎた北海道では、いよいよ秋刀魚漁が始まりました。 私が日常的に魚を買っている店にも、旬の秋刀魚が入荷し始めました。

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私の故郷では昔から、「卯の花漬」と言う保存食が作られていました。 これは三枚におろして塩で絞めた後、酢洗いした青魚を、甘めに調合した寿司酢を混ぜたおからに漬込んだもので私の大好物です。

釧路厚岸産の秋刀魚は、30cm程度の魚体が30匹入って一箱680円!・・・・ 安いです。 で、おからは1kg:280円でした。

特別な大豆から作られた豆腐のおからと旬の秋刀魚との出会い・・・・・材料は全て北海道産です。


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漬込んで4日目の今日、夕餉の食卓に出しました。 お気に入りの 「たち吉」の利休ねずみ色の鉢に盛って、庭からとって来た山椒の葉で止めました。  まずまずの出来映えです。 

「素材は一流。料理は三流」と言われて久しい北海道に、このような食文化を広めて行ければ・・・・と思いつつ
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by marimuramario | 2009-08-18 02:20 | 食べ物

カルデラの貴婦人(その2)

さて、丹誠込めて育てられたホワイトアスパラガスを調理します。
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アスパラガスは、とにかく足が速い(鮮度が落ちるのが早い)のです。本州に住んでいて例えばタケノコの調理方法を知っていらっしゃる方ならお解りになると思います。
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ホワイトアスパラガスは、収穫後、なるべく早いうちに下処理をします。
先ず、アスパラの木口から全体の1/3程度まで皮を剥きます。 剥いた皮は捨てません。
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鍋に湯を沸かし、沸騰したところで、塩と剥いたアスパラの皮を投入します。 再び沸騰したら、アスパラを投入し、5〜6分経たら火を止め、冷えるまでそのまま置きます。
皮には、アスパラガスの旨味や香りが凝縮されているので、それを一緒に茹でる事によってアスパラ本体に還元するのです。
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今日は父の日。 ゆでたアスパラは、シンプルにマヨネーズで戴きましたが、本当は生でも食べる事が出来るのです。カルデラの貴婦人は、とても甘く、しかし、一方でワイルドな渋みもしっかりと主張しています。

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by marimuramario | 2009-06-21 22:22 | 食べ物

カルデラの貴婦人(その1)

札幌市の西方、車で約1時間ほどの所に赤井川と言う村があります。 赤井川村の村域の地形は、いわゆるカルデラ。 その昔、富士山級の火山が再噴火し盆地を形成したのです。その赤井川村に、日本でただ一カ所、農林水産省の有機認証を得たアスパラガス農家があります。 
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これが、その農場です。有機認証を受ける為には、農場の近隣に農薬を使う他の畑があってはならないのです。ですからこの農場は、赤井川の、とんでもない奥地にあります。
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これが「カルデラの貴婦人」と命名された有機無農薬栽培のホワイトアスパラガスです。 通常ホワイトアスパラガスは、畝を作って土を被せ、日の光に当てないように育てるのですが、この農場では、遮光性の覆いを被せて育てています。 因に、この遮光性の覆いを施すと言うユニークな栽培方法が、他所から飛散する農薬からホワイトアスパラガスを完璧に保護しているとして、有機認証を受けることが出来た理由の一つにもなっています。
しかし、この方法、実は、火山灰土で石ころだらけのこの土地では、通常の栽培方法が通用しなかった事から編み出された苦肉の策なのです。
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ホワイトアスパラガスのハウスの間に植えられているグリーンアスパラガスです。これも有機認証を受けています。
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珍しい紫色のアスパラガスです。有機無農薬栽培なので、畑は雑草が生い茂っています。 でもアスパラも負けていません。

一般に出回っているアスパラガスは、実は大量の農薬や除草剤を使っています。 北海道の新鮮なアスパラガスを売っていると言うインターネット販売の業者さんのサイトには、雑草一本生えていないフカフカの土の畑に生えているアスパラの写真が掲載されていますが、これは、農薬の成せる技です。

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収穫した直後のホワイトアスパラガスです。まるで真珠のような美しい輝きを放っています。
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農場主の滝本さんです。 これと言って特産品の無かった赤井川村で、二十年以上の年月をかけて「カルデラの貴婦人」を生み出しました。 一見、飄々とした人柄ですが、顔に深く刻まれた皺や、とてもゴツくて大きな手を見ると、彼が歩んで来た大変困難な道のりが忍ばれます。
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出荷を待つカルデラの貴婦人達です。 遠く九州沖縄にまで送られるそうです。 一方、常連の方々も居ます。あのミシェラン3つ星のカンテサンスやオテル・ド・ミクニ。帝国ホテルをはじめとする有名ホテル。全国の三越百貨店など、このアスパラを待ち望んでいる多くの人々が居ます。

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戴いて来たアスパラ達です。 一年に一度の恵みを、我が家ではどのように戴くか・・・・その2に続くです。
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by marimuramario | 2009-06-21 00:19 | 食べ物

北国の春の恵み

20年間放ったらかしの我が家の庭では、次から次へと山菜が芽吹いてきます。ヤマウドとタラの芽が終わった後は、フキとワラビが食べごろを迎えます。
 
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ワラビです。 私の自宅がある手稲山の麓では、ワラビを見る事は まず無いのですが、何故か我が家の庭にはワラビが生えます。
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フキです。 フキは生える場所によって大きさの大小が決まるそうですが、これは多分土壌の問題だと思います。我が家の庭に生えるフキは、大きくても高さ50cm程度で、とても柔らかく香り高いのです。
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我が家の庭に唯一植えた植物が山椒です。柑橘類である山椒は、寒冷地の北海道ではなかなか根付きませんが、奇跡的に根付いてます。山椒の葉は我が家の必需品です。
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灰汁抜き等の下ごしらえが終わったワラビとフキです。傍らにあるのはホッケと言う魚の干物です。 今の季節、北海道の料理屋では、旬のニシンと山菜を炊き合わせた料理が出されますが、今日はホッケと山菜を合わせてみました。ホッケも春から初夏にかけてが旬なのです。で、何故生のホッケではなく、干物なのか?  それは、ホッケと言う魚が水分が多くて脂も多く、生のままでは煮た時に身崩れしてしまうからなのです。

さて、ホッケと山菜の炊き合わせは、先ずホッケの干物を強火で両面を炙るように焼いてから、熱湯をかけて表面の脂を取り除きます。 ホッケは非常に脂が多い魚なので、このような処理をします。この処理によって特有の生臭さも消えてしまいます。 
 次に、 鍋に日本酒を入れて煮切ったら出し汁を入れ、みりん、醤油を加えてホッケを入れ強火で煮ます。沸騰したところにワラビとフキを入れて、再び沸騰したら火を止めて煮含めます。北海道特有の「三平皿」に盛り 庭で穫れた山椒の葉で止めます。
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今日の夕餉です。メインは、津軽海峡産マグロの漬け丼です。それにホッケとワラビ、フキの炊き合わせ、もずく酢、海老のお吸い物です。自分の庭で穫れた山菜で作る一年に一度の料理を戴く・・・・なんだかとても豊かに気持ちになれる瞬間です。
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by marimuramario | 2009-06-06 17:35 | 食べ物

松山農場【その2】

松山農場の樹液祭には初めて参加しましたが、大いに賑わっていました。この街に生まれて育った方々や、本州から美深に移住してきた方々が渾然一体となって、この祭りを盛り上げていました。 過去20数年に渡って、地方のいわゆる「まちづくり」に都市計画家と言う立場で携わってきた私ですが、全国でも有数の大都市である札幌に住む私は、こうした地方の街に赴く度に地域の濃密な人間関係を羨ましく思うのです。地方における産業、或は生産活動と言う裏付けがあってこそ、地方の暮らしが維持できる訳ですが、そう言った産業に何らかの形で関わる方々同士だからこそ、共同体的な意識が芽生えるのですね。

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樹液際に集まった町民の方々。背後に見えるのは、松山農場が経営するファームイン トントゥです。

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祭り会場に設けられたブース。写真は松山農場のブースです。白樺の樹液「森の雫」や特製の羊の焼きソーセージを売りました。向かって右側で座っているのが柳生さん。 真ん中にいるのが小娘3号(つまり私の3女)です。
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柳生さんは、どうも気が短いらしいのです。最初は一生懸命ソーセージを焼いていましたが、どこかへ行ってしまいました。代わりに小娘1号(つまり私の長女)が炉の前に陣取りソーセージを焼き始めました。因に長女は、神戸芦屋のアンリシャルパンティエと言う洋菓子屋で4年間修行をして北海道に戻ってきたパティシエです。お祭り好きです。すごい腕力です・・・・彼氏 いません(笑  その隣で弊社社員のnaccoも活躍してくれました。
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祭りが終わって、札幌へと帰る道すがら、子ギツネが道路にいました。 車を止めて外に出ましたが逃げようとはしません。 人慣れしているのか、人の怖さを知らないのか、今もって不明です。
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 松山農場の羊は、 乳用種のフライスランド種、肉用種のポールドドーセット種、皮革用種のロマノフ種の 3種類からなっています。ほとんどの個体は、それらの雑種です。雑種強制と云って、雑種にした方が丈夫な羊に育つらしいのです。松山農場の柳生さんから、農場産の羊肉を戴きました。腿の部分で3kgもある固まりです。 翌日早速解体して、一番柔らかな部位をジンギスカンにしました。豪華にブツ切りです。もも肉なのにとても柔かくて、あっという間に食べてしまいました。
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ジンギスカン用に切り分けた後に残ったスジ肉をカレーにしました。 我が家のカレーは、札幌のカレーの老舗、「ミルチ」のレシピがベースになってます。今でこそ、札幌を代表するカレー店に成長したミルチは、20数年前、店主自ら民家の車庫を改造して開業しました。当時、たまたまその店の向かいにある設計事務所で働いていた私は、インド放浪の旅を終えて帰ってきたばかりの店主から、本場のカレーの作り方を学びました。 

そのレシピに一工夫したのがこのカレー。実は生のパイナップルを加えています。 肉1kgに対して、パイナップル1/2。 パイナップルを細かく切って、焼いた肉と一緒に圧力鍋で煮込みます。 パイナップルにはタンパク質を分解する酵素が含まれており、どんなに固い肉でも柔らかくしてくれます。また、パイナップルの持つ風味と甘みが、カレーをより美味しくしてくれます。
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我が家のカレーです。ご飯は、本来ならばタイ米等の長粒種にしたい所ですが、今は滅多に手に入りません。なので、道産米を少し固めに炊きます。右上にあるのはラッシー。20年以上も続く我が家の定番カレーです。
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by marimuramario | 2009-06-03 19:25 | 食べ物

松山農場

北海道上川郡美深町・・・・と、言ってもピンとこないかもしれませんが、北海道の最北、稚内市の近くに、この街はあります。 かつて道北の林業の中心地であったこの街も、他の北海道の町村のように、基幹産業の衰退と共に寂れて行きました。

そんな美深町で、新たな産業を創造しようと立ち上がった一人の人物がいます。松山農場を営む柳生さんです。彼は、もともと美深の生まれですが、青春時代を小樽で過ごし、北海道大学農学部で酪農を学んだ後故郷に帰りました。 最初は牛を飼いましたがうまく行かず、何か話題性のある農業はないかと模索しているうちに、羊を飼って羊乳を生産することを思い立ちました。 彼が経営する松山農場は、日本で唯一の羊乳生産農場です。 生産された羊乳は、瓶詰めにされ、さらにヨーグルトやチーズやアイスクリーム等にに加工されています。しかし乳牛の搾乳のように搾乳機を使った搾乳が出来ず、数百頭の羊の搾乳は、全て手作業です。

しかし、これだけ努力しても、とても街の基幹産業として成立するのは難しいと思った柳生さんは、町内の至る所に生えている白樺の木に着目しました。 春先に穫れる白樺の樹液は、古くはアイヌの人々が春の恵みとして愛飲していました。この樹液は、ほんのりと甘く、多くの栄養素が含まれています。 因に、フィンランドで開発された甘味料のキシリトールは、白樺の樹液を精製したものです。

柳生さんは町内の方々に呼びかけて、白樺の樹液を採取し、それを商品化することを思い立ちました。 この商品も、日本で唯一、美深町だけで生産されています。

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柳生さんです。柳生さんが営むファームイン トントゥの食堂です。ファームインの夕食は、ジンギスカンです。写真は2月に美深に取材に行った際のものです。右側に映っているのは、宅の小僧(長男)です。親が言うのもなんですが、けっこうイケメンです(笑
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4月に開催された、松山農場主催の「樹液祭」参加の為に、小娘1号、3号及び弊社社員のnaccoを引き連れて美深に参りました。
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松山農場特製の白樺の樹液です。 ほんのり甘くて、さわやかな飲み物です。
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白樺から樹液を採取している所です。雪解け前のほんの一時期にだけしか採取できません。気温が高くなると、あっという間に腐ってしまうからです。
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毎年、樹液を採取する為、森に入る前に地元のアイヌ民族の方々に、カムイノミと言う儀式を執り行っていただきます。森に棲む精霊達に感謝の気持ちを込めつつ、森の恵みを戴く許しを請うのです。カムイノミは全てアイヌ語で行われます。その言葉や意味は、私達倭人には、全く理解できません。

因に、北海道と言う地名の「海」は、アイヌ語です。 江戸時代の末期、松浦武四郎と言う幕府の役人が、幕府の命を受けて、北海道の日本海側に位置する今の天塩町に渡り、地元のアイヌの案内で天塩川を丸木舟で登り美深町に到達しました。 案内人のアイヌの家に泊まった松浦が、「ここは、なんと言う所か?」と尋ねたところ、 アイヌの案内人は「Kai」と答えました。 その意味は、「私たちが生まれた所」と言う意味でした。 そこで松浦は、この土地は、北の「私たちの生まれた所」に至る道(つまり 天塩川)なんだなぁと発想し、北海道と名付けたのでした。
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この春に生まれた、松山農場の子羊です。小娘3号とnaccoがミルクを与えました。 母性本能が目覚めたのか、ミルクを与える彼女らの顔は、普段と全く違う表情でした(笑  因に二人とも独身でございます。
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搾乳の作業です。 全て手作業です。 搾乳機を使ったこともあったようですが、羊のそれは非常に繊細なので、搾乳機では無理だったようです。 数百頭の羊の搾乳作業は本当に大変です。 因に一日一頭あたり、僅か900cc程度しか搾乳できません。とても貴重なミルクです。
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羊乳から作られたチーズと羊のレバーの薫製です。 チーズは青カビのチーズとゴーダに似たチーズです。とても濃厚で、酒の肴にはもってこいです。
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by marimuramario | 2009-06-01 16:07 | 食べ物

Aris Farm

大変古い話ですが、1996年の2月、同じ業界の I さんから電話がかかってきました。

I さん:「・・・あのさ、アリスファームって知ってるっしょ! そこの Fさんが新しい本部の設計をしてくれる建築家を捜してるんだけどさ、君、やらない?」    

・・・・と言う訳で、当時後志管内仁木町にあったAris Farmへ 代表のF氏に会いに行きました。 初対面のF氏の印象は、とにかく「タフ」・・・・・F氏は、「高度な自給自足」と言うスローガンを掲げて北海道に入植して来た集団のリーダーです。

噂には聞いていましたが、「一村一品運動」が盛り上がっていた70年代後半、岐阜県の有巣と言う集落で自給自足の集団生活を送っていた当時弱冠30歳のF氏は、西武百貨店の総帥である堤オーナーや仁木町長の求めに応じて数段で移住し、広大な敷地と真新しい建物を手に入れたのです。 私は、氏の独特の魅力に惹かれ設計業務を受任する事になったわけです。

さて、新たな本部の為に私が提案したのは、北海道産のレンガを積んで造る本格的なレンガ造でした。 F氏は、農業者であると同時に、米国のシェーカー教徒が作り出したシェーカー家具研究の第一人者であり、日本で唯一の作り手でもありました。 その事を知っていた私は、シェーカー教団の本拠地にあるレンガ造の建物をモチーフにした設計案を提示したのです。

しかし、実際の設計は困難を極めました。当時の建築基準(日本建築学会編特殊壁式構造基準)では、レンガ壁の厚さは60cm以上とか記載してあるだけで それ以上の詳細な基準が示されていないのでした。 そもそも今の時代にレンガを使って建物を作る人間がいるなどと言う事を想定していないのです。
阪神大震災が起きた直後の事でもあり、私たちは母校の建築構造学教室と連携して、独自の耐震構造を編み出しました。

いよいよ設計が完成し、建築確認申請書を道庁の建築指導課に提出したのですが、何しろ戦後初めての大規模レンガ造建築物なので、役所もレンガ造を審査をした経験がありません。しまいには建築指導課長が「・・・・あのさ、これって大丈夫なんだべ?」と聞いてくる始末。  なので、「大丈夫です!」と言ったらすんなりと審査が通りました(笑

 しかし、問題は実際の施工です。元々農地だった敷地は軟弱で、単位面積あたりの重量がコンクリート造の4倍もある建物を支える為に、地盤を約4m掘削し砂利を厚さ2mほど放り込んで転圧して地盤改良し、その上に厚さ1mの耐圧盤を持つ基礎を築いてレンガを積むと言う、きわめて特殊な工法を採用したのでした。
20人のレンガ職人を動員して数ヶ月を要して積んだレンガは約17万6千個。こうして日本では戦後初となる大規模レンガ造建築が完成したのでした。



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赤井川村の新たな敷地に完成した竣工直後のAris Farm本部です。北海道江別市で生産されたレンガを積んで作られています。 設計から完成まで丸2年。気が遠くなるような仕事でした。私を始めとして当社のスタッフが代わる代わる常駐して施工監理をしました。
窓やドア、内部の床板やソファー等の家具や、その他諸々は、F氏とF氏のパートナーであるUさんと私が、ロサンゼルスに赴いて調達しました。因に、その当時の為替レートは1ドル:83円!!!!! 今思えばタダみたいな金額です。
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オーナーのF氏です。彼は 横浜で生まれて育ったのですが、彼のお爺さんはスコットランド人だそうです。写真は、本部建物の地下にあるシェーカー家具の工房です。
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写真左側の女性がパートナーのUさんです。とってもシャイな女性ですが、知的で思いやりがあって・・・エッセイスト、料理研究家として著名です。
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最近の本部建物の写真です。とても12年前に作られた建物とは思えない佇まいですし、写真を見る限り日本とは思えませんね。 (写真は、 F氏撮影:Fさんごめんなさい。勝手に写真使わせてもらってます)
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ジャムです。Aris Farmの製品です。Aris Farmの食品工房は「工房」と呼ぶのにふさわしい規模と製造方法で仕事をしています。ジャムのカバー紙にKITCHEN MADEの文字がありますが、まさに農家の主婦が台所でジャムを作るのと同じような作業をしています。

Aris Farmのジャム作りは30年の歴史があります。なにより大切にしているのは、素材の力を生かすこと。自然の持つ風味はなにものにもかえがたい力があり、加工はそれを生かすことが大原則だと彼らは考えています。

Aris Farmの工房では10リットルほどの比較的小型の鍋を使っています。ひとつづつ異なる原料に機敏に対応するためです。同じ果樹でも材料はその都度違っており、これを同じ 品質のジャムにするにはひと鍋ごとに丁寧な仕事をする必要があります。副原料を大量に使って原料を均一化してしまう量産品とははっきり一線を画して作られていますね。


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建物の地下にあるUさんのキッチンスタジオです。アメリカ製のキッチンストーブが見えますね。
 Uさんの数々の著作に掲載されているレシピは、このキッチンから生み出されています。
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by marimuramario | 2009-05-30 17:40 | 食べ物